「シチズンフォー スノーデンの暴露」を見てきました
面白かった。セキュリティ好きとしては、見ないわけにはいかない。
シチズンフォー スノーデンの暴露というエドワード・スノーデンを題材にしたドキュメンタリーを見てきました!
ここの記事を事前に読んでおくと更に楽しめます。
THE ZERO/ONE - 正義の告発者か買収されたスパイか スノーデンの素顔に迫るドキュメンタリー映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』¶
正義の告発者か買収されたスパイか スノーデンの素顔に迫るドキュメンタリー映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』
https://the01.jp/p0002479/
THE ZERO/ONE - ハッカーの系譜 エドワード・スノーデン¶
米国で繰り返される「諜報」と「内部告発」の歴史(1/6)
https://the01.jp/p0001924/
米諜報機関が生んだハッカーの葛藤(2/6)
https://the01.jp/p0001950/
闇に葬られないための入念な「告発準備」(3/6)
https://the01.jp/p0001968/
世界に衝撃を与えた米国の盗聴プログラム「プリズム」(4/6)
https://the01.jp/p0001998/
「世紀の告発者」への第一歩を踏み出す(5/6)
https://the01.jp/p0002027/
香港からの脱出、そしてロシアへ(6/6)
https://the01.jp/p0002038/
THE ZERO/ONE - ハッカーの系譜 ジュリアン・アサンジ¶
ウィキリークス「反骨」の原風景(1/6)
https://the01.jp/p0002395/
少年ハッカー「メンダックス」の冒険(2/6)
https://the01.jp/p0002414/
サイファーパンクスとの出会い(3/6)
https://the01.jp/p0002449/
少年ハッカーから国家と戦うハクティビストに(4/6)
https://the01.jp/p0002464/
※連載中(2016.6.18現在)
いちエンジニアとしての感想¶
当初より、エドワード・スノーデンさんのリークした情報の真偽が疑われたりしています。
また、現在に至るまで名だたるIT関連企業は、関与した事実を認めていません。
映画はドキュメンタリーでしたので、エドワード・スノーデンさん自身が、ものすごく、ものすご~く、情報の取り扱いに気を使っていたのを生で見ることが出来ました。(VOIP電話のコード抜いたり、スマホを冷蔵庫に入れたり、全てPGPで暗号化したり)
さてさて、信じられないような情報が数々がリークされた訳ですが、いちエンジニアとして、その真偽について感想を述べたいと思います。
まず、
- 技術的に矛盾した話は無かった。
- ちょっと、大げさに情報漏えいを恐れていたようにも感じたが、(VOIP電話のコード抜いたり、スマホを冷蔵庫に入れたり)、技術的には盗聴が可能という側面と、自分の命がかかってるので解る。
- 逆にそこまで気にしないといけないNSA怖い。
国家規模の盗聴に関して言うと、
- 実現するには、国家規模で、ものすごいリソースの用意が必要。(特にディスクとメモリが。どの位必要なのか想像もできない。)
- さらに、IT関連の複数の大企業の協力が必要(顧客のプライバシーを守ると声高に宣言している企業の協力が)。
- さらに、国家間で秘密裏に協定を結んだり、もしくは勝手に他国へもネットワークを広げることが必要。
という、普通なら実現不可能に思えました。
特に、「IT関連の複数の大企業の協力が必要」というあたりは、CEOだけが墓場まで持って行けばよいという訳でもなくて、そんな工事・作業するのにも複数人の関係者が必要になります。彼らの口を全て塞ぐのは難しいんじゃないんですかね。まさか
でも、でも、もしかしたら国が本気出せばできるのかもしれません。。
2016.6.21追記
と、思ったんだけど次のコンボで特に疑われずにNSAは動けるね。コメント欄に書いたTEDの動画見て思った。
米国には裁判所の命令があれば、合法的に盗聴できる。→それを理由に盗聴する仕組みを各IT企業に作る。→(本当は裁判所の命令がないと盗聴できないけど)後は、勝手に盗聴する。
盗聴されると、どうなるのかしら¶
そんな訳で、国家規模で盗聴されていると仮定すると何がどうなるか想像してみます。
まず日常的に使っている検索エンジンやメール、ネットショッピングの内容が全て筒抜けになります。
普通に生活している分には、データ収集されても、あまり影響がないような気もしますが、技術的には改竄も可能なので、
- 「検索語A」で検索したのに「検索語B」の結果が返ってきたり
- メールに書いてある待合せ場所と時間を書き換えられたり
- クレジットカードの番号を盗まれて勝手に買い物される
そんなリスクまで考えられます。国がやろうと思ったら、ですけど。
「自分ネットする時、絶対HTTPS(SSL/TLS)しか使わないんで大丈夫っすよ」
と思われる方もいるかもしれませんが、HTTPSは、みなさんのPCとサービスを提供する企業の入り口までを暗号化しているのであって、それ以降は筒抜けになります。ここから抜かれるとどうしようもありません。
┏━━━━━━━━━━ IT企業のデータセンタ ━━━━━━━━━┓ ┃ ┃ 自分のPC(ブラウザ) <---------->[HTTPSをHTTPに複合する機能]<---------->[ロードバランサ等]<---┃ HTTPS ┃ HTTP ┃ 暗号化して┗━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━┛ 安全な区間 │ この区間で盗聴されると平文 (普通の常識だとデータセンターの中なので、盗聴は無理)
個人でできる情報の秘匿 - PGPを使う¶
こんな情報筒抜けな世の中だとしても、誰にも内緒で情報を伝える手段は存在します。
エドワード・スノーデンさんも頻繁に使っておりましたが、公開鍵暗号方式で暗号化して送ればいいんですね。
映画ではPGPを使っておりました。
日常的に使うには、ちょっと面倒なんですが、届いた相手のPCでしか複合できない仕組みなので確実です。
余談ですが、PGPを使う際には鍵長は最大(恐らく2048bit)を設定しましょう。短い鍵長だと、計算能力が高いコンピュータで割り当てられてしまうかもしれません。ちなみに鍵破りコンテストが随時開催中で、640bitの鍵長までは破られています。
スノーデンさんの件に関しては、真偽についても賛否についても、ご意見ある方いらっしゃると思いますが、いちエンジニアとして技術的に大変興味深く拝見させて頂いた映画でした。
なんか書いてて怖くなってきた。
あれ、誰か来たみたい。
コメント
kanata が8年以上前に追加
参考情報追加。映画を見た後に見るとより面白い。
TED - エドワード・スノーデン: インターネットを取り戻すために
http://ted.com/talks/edward_snowden_here_s_how_we_take_back_the_internet.html
TED - リチャード・レジェット: エドワード・スノーデン氏のTEDにおけるトークに対するNSA(米国国家安全保障局) の反論
http://ted.com/talks/richard_ledgett_the_nsa_responds_to_edward_snowden_s_ted_talk.html